『食える数学』数学が役に立つことがわかる「実学」の数学書。
- 2018/08/01
- 20:00
『食える数学』は、本棚を断捨離した今も、手元に置いています。
(今は文庫本で出ています。手際は四六判で読みました。)
一般向けの数学書ですが、天才数学者のエピソードや、数学教養書というのとは趣が異なります。
数学書をなかなか読み切れない手際ですが、この本は、時間をおいて何度か手に取っています。
著者は大学教授ですが、象牙の塔にこもっていたタイプではなく、会社員(日立製作所の研究職)を経験しています。
エンジニアとしては、挫折の日々。(「数学者として挫折した」のではありません、念のため。)
そこが、『食える数学』を類書とは一味違う数学書にしています。
純粋に数学の本として読むのはもちろん、いろいろな読み方ができます。
例えば、教育書として。
「数学は体育」と本書にあります。
「計算は数学的経験であり、計算をとおして、数がどんなものか、どんな性質をもつか、どのように応用されるかを知るのです。」(神永正博『食える数学』ディスカバー・トゥエンティワン 2010年 より引用)
「数学は、多くの人が思っているよりも、ずっと身体的です。実際に手を動かして計算してみないと、身につきません。」(同上)
そう言ってもらえると、子どもに計算練習させることに迷いがなくなります。
しかも、著者は中学2年の3学期に「相似な図形」をやりはじめて、数学に目覚めたそうです。
凡人が勇気づけられるエピソードです。
数学が好きだけど、教員くらいしか職業のイメージがわかない高校生。
第1章「役に立つ数学入門」を読んでみてください。
迷いが吹っ切れるかもしれません。
いや、序章だけを読むと、かえって葛藤することになったりして。

大人には、ビジネス書としても読めます。
初出が2010年ですから、本書の内容も今となっては先端とは言えないことでしょう。
けれども数学の門外漢には、今読み返して、ようやく(多少)追いつけた、という内容がたくさんあります。
例えば、本書にはQRコードの解説が出てきますが、当時、スマホユーザーでなかった手際がQRコードを実際に使うことはありませんでした。今では、すっかり身近な技術です。
チェックデジットのことを本書で知っていたので、それを多少、仕事に活かせたり。
文系で経済学以外にも数理化が進む、というのも、2010年時点ではかなり漠然としていました。
手際くらいだと、まだまだ、追いつけない内容がたくさんあって、古びた感じはしません。
もちろん、雑学としても楽しめます。
・ブラピ主演で映画になった『マネーボール』。統計で野球に勝つ方法です。(映画も良かったです)
・共振の話は、海外ドラマ「ナンバーズ」でも出てきます。まあ、「ナンバーズ」自体が全編、数学ネタですが。(刑事ものですが、家族愛が味わい深いドラマです)
・ネットで安心して買い物ができるのは、RSA暗号のおかげです。(買い物どころかイデコもネットを使っています)
・「エルデシュ数」が出てくれば、「ケビン・ベーコン数」を思い出したり。(「フットルース」、懐かしい)
・「ジニ係数」の議論では、大竹文雄を思い出したり。(経済学、懐かしい)
手際は、自分に本書の内容を数学的にきちんと理解できる日が永遠にやってこないことを理解しています。
教科書のように、きれいに内容がまとまっている本でもありません。
それでも、またいつか『食える数学』を手に取ることでしょう。

にほんブログ村
(今は文庫本で出ています。手際は四六判で読みました。)
一般向けの数学書ですが、天才数学者のエピソードや、数学教養書というのとは趣が異なります。
数学書をなかなか読み切れない手際ですが、この本は、時間をおいて何度か手に取っています。
著者は大学教授ですが、象牙の塔にこもっていたタイプではなく、会社員(日立製作所の研究職)を経験しています。
エンジニアとしては、挫折の日々。(「数学者として挫折した」のではありません、念のため。)
そこが、『食える数学』を類書とは一味違う数学書にしています。
純粋に数学の本として読むのはもちろん、いろいろな読み方ができます。
例えば、教育書として。
「数学は体育」と本書にあります。
「計算は数学的経験であり、計算をとおして、数がどんなものか、どんな性質をもつか、どのように応用されるかを知るのです。」(神永正博『食える数学』ディスカバー・トゥエンティワン 2010年 より引用)
「数学は、多くの人が思っているよりも、ずっと身体的です。実際に手を動かして計算してみないと、身につきません。」(同上)
そう言ってもらえると、子どもに計算練習させることに迷いがなくなります。
しかも、著者は中学2年の3学期に「相似な図形」をやりはじめて、数学に目覚めたそうです。
凡人が勇気づけられるエピソードです。
数学が好きだけど、教員くらいしか職業のイメージがわかない高校生。
第1章「役に立つ数学入門」を読んでみてください。
迷いが吹っ切れるかもしれません。
いや、序章だけを読むと、かえって葛藤することになったりして。

大人には、ビジネス書としても読めます。
初出が2010年ですから、本書の内容も今となっては先端とは言えないことでしょう。
けれども数学の門外漢には、今読み返して、ようやく(多少)追いつけた、という内容がたくさんあります。
例えば、本書にはQRコードの解説が出てきますが、当時、スマホユーザーでなかった手際がQRコードを実際に使うことはありませんでした。今では、すっかり身近な技術です。
チェックデジットのことを本書で知っていたので、それを多少、仕事に活かせたり。
文系で経済学以外にも数理化が進む、というのも、2010年時点ではかなり漠然としていました。
手際くらいだと、まだまだ、追いつけない内容がたくさんあって、古びた感じはしません。
もちろん、雑学としても楽しめます。
・ブラピ主演で映画になった『マネーボール』。統計で野球に勝つ方法です。(映画も良かったです)
・共振の話は、海外ドラマ「ナンバーズ」でも出てきます。まあ、「ナンバーズ」自体が全編、数学ネタですが。(刑事ものですが、家族愛が味わい深いドラマです)
・ネットで安心して買い物ができるのは、RSA暗号のおかげです。(買い物どころかイデコもネットを使っています)
・「エルデシュ数」が出てくれば、「ケビン・ベーコン数」を思い出したり。(「フットルース」、懐かしい)
・「ジニ係数」の議論では、大竹文雄を思い出したり。(経済学、懐かしい)
手際は、自分に本書の内容を数学的にきちんと理解できる日が永遠にやってこないことを理解しています。
教科書のように、きれいに内容がまとまっている本でもありません。
それでも、またいつか『食える数学』を手に取ることでしょう。

にほんブログ村
スポンサーリンク