続・50歳目前はイデコ適齢期。5年間の分割受給でも税金0円。
- 2017/10/22
- 20:00
50歳目前はイデコ(iDeCo 個人型確定拠出年金)適齢期。続編の今回は、あなたやあなたの夫が、50歳までにスタートしたイデコを、60歳からの5年間、年金(5年間の分割)で受け取るケースです。手際の計算では、やはり税金は所得税も住民税も0円です。なぜなら、イデコは公的年金控除の対象だからです。
前回は、60歳定年制・再雇用から5年間の備えについて、退職金控除を前提に、イデコ(iDeCo 個人型確定拠出年金)を一時金(1度に全額)受け取るケースで試算しました。(前回の記事はこちらをどうぞ。)
しかし、もしも60歳の定年時に、あなたやあなたの夫が、(勤続年数が長かったりで)勤務先から多額の退職金を受け取る見込みだとすると、一時金(1度に全額)でイデコを引き出したら、税金がかかってしまうかもしれません。そのせいで、あなたはイデコのスタートに慎重になっていませんか。
確かに、いくら入口(拠出時・払込時)で節税(税金の節約)をしても、肝心の出口(受給時・受取時)で税金がかかるのなら、それは単なる税金の繰り延べ(後払い)に過ぎません。ですから、節税がメリットのイデコにとって、出口戦略は重要です。
けれども、ご安心ください。イデコの出口(受給時・受取時)には、一時金(1度に全額)だけでなく年金(制度上は5~20年間での分割。分割期間は金融機関により異なります。)にも節税のメリットが用意されています。出口も含め、トータルで節税(税金の節約)メリットを受けることが可能なのです。
公的年金の受給開始が65歳からになってしまった、今がイデコ適齢期の私たちの世代。せっかく用意されている、65歳未満の「公的年金控除」の税制を有効利用しましょうという提案です。
もちろん、65歳定年制の勤務先でも大丈夫ですからご安心を。

(出口でも、税金0円です。)
それでは、イデコの出口(受給時・受取時)戦略、イメージ作りの4ステップです。
ステップ1 イデコが公的年金控除の対象であることを確かめる。
イデコを年金(5年以上で分割)として受け取るときには、公的年金控除の対象です。国民年金基金連合会のイデコ公式サイト(こちらからどうぞ)で確かめましょう。
公的年金控除の対象であることを確認したらステップ1は完了です。
ステップ2 公的年金控除について知る。
今度は、公的年金控除について確かめます。国税庁のパンフレットを見てみましょう(こちらからどうぞ)。
「年金等に係る雑所得の計算方法」として「公的年金等に係る雑所得の速算表」が載っています。「65歳未満の方」の「公的年金等の収入金額」が「70万円以下」だと、「公的年金等に係る雑所得の金額」が「0円」と書かれています。(個人住民税も雑所得の計算方法は所得税と同じです。)
つまり、60歳からの5年間は、1年間(1~12月まで)のイデコ受け取り合計額が年間70万円以下なら、税金がかかりません。
公的年金控除の金額を確かめたら、ステップ2は完了です。
ステップ3 公的年金控除から逆算して、イデコの受け取りに税金がかからないことを確かめる。
ステップ2の通り、年間70万円までイデコ口座から引き出した収入に税金がかかりません。
したがって、60歳からの5年間だと、トータルで350万円まで(70万円×5年=350万円)イデコの受給(受け取り)に税金がかかりません。
この350万円をイデコ加入期間で逆算して、毎月の掛金でいくらまで受給に税金がかからないのか確かめます。仮に、イデコを50歳でスタートして加入期間が10年間だとすると、
3,500,000円÷10年÷12ヶ月≒29,166円
ですから、運用益を考えない単純計算で、毎月29,166円の掛金までは税金をかけずに引き出せます。加入期間がもう少し長ければ、その分、月数を増やして計算してください。
ではここで、イデコの支払い(拠出)限度額を思い出してください。
企業年金等がない会社員の場合、月に27,000円が拠出限度額です。
拠出限度額の27,000円は、公的年金控除から逆算した29,166円よりも金額が小さいのですから、例えば、(運用益はほぼゼロで元本確保の)定期預金でイデコを運用していたなら、出口(受給時・受取時)でも、全額税金がかからないことがイメージいただけるでしょう。
5年間の年金(分割)で受け取っても税金がかからないことを確かめたら、ステップ3は完了です。
ステップ4 いざ60歳。受け取り方を決める。
60歳になったら、イデコの受取方法を自分で決めます。
積み立てをしないで、資金をイデコ口座に入れておくだけでも、口座管理料はかかります。金融機関によっては、さらに金融機関の手数料が上乗せされてかかります。
また、受け取るときにも、その都度、振込手数料がかかります。
手数料はできるだけかけたくありませんね。
手数料を考慮して、受取方法の優先順位の確認です。
1位 60歳で一時金(1度に全額)受け取り、退職所得控除を受ける。(前回の記事のケースです。こちらの記事をどうぞ。)
2位 60歳から5年間の年金(分割)で受け取り、公的年金控除を受ける。(今回の記事のケースです。)
もしも、5年間の年金(分割)で受け取るとしても、振り込むのは年(1~12月)に1度にしましょう。振込手数料の節約です。
それから、65歳定年制ので退職金が65歳に支給される会社員の方も、60歳から5年間の年金で受け取りましょう。
ステップ2で確かめた通り、60歳からの5年間は、1年間(1~12月まで)のイデコ受け取り合計額が年間70万円以下なら、雑所得が0円だからです。給料と一緒にイデコを受け取っても、イデコの受け取り分の税金が増える心配はありません。
とはいえ、就業規則などで退職金の金額が確かめられ(退職金をいくらもらったのか、先輩社員にはきけませんよね。)、かつ、退職所得控除に余裕がある(退職金に税金がかからない上に、イデコ口座残高分の余裕がある)のなら、60歳時点で、一時金(1度に全額)で受け取るのがおすすめです。(退職所得控除については国税庁のサイトをご覧ください。こちらからどうぞ。)
イデコの出口(受給時・受取時)戦略、イメージが持てたでしょうか。もちろん、10年後の税制が変わっている可能性もあります。けれども、今の税制を確かめて出口戦略を持っていることは、あなたに、変化への対応力をもたらしてくれるはずです。
最後に、税金がからむと、有利・不利が一概にはいえません。前提条件(収入など)が違えば、結果も変わってきます。特に、ステップ4でわからないことがあったら、市区町村の無料税務相談などのご利用をおすすめします。

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前回は、60歳定年制・再雇用から5年間の備えについて、退職金控除を前提に、イデコ(iDeCo 個人型確定拠出年金)を一時金(1度に全額)受け取るケースで試算しました。(前回の記事はこちらをどうぞ。)
しかし、もしも60歳の定年時に、あなたやあなたの夫が、(勤続年数が長かったりで)勤務先から多額の退職金を受け取る見込みだとすると、一時金(1度に全額)でイデコを引き出したら、税金がかかってしまうかもしれません。そのせいで、あなたはイデコのスタートに慎重になっていませんか。
確かに、いくら入口(拠出時・払込時)で節税(税金の節約)をしても、肝心の出口(受給時・受取時)で税金がかかるのなら、それは単なる税金の繰り延べ(後払い)に過ぎません。ですから、節税がメリットのイデコにとって、出口戦略は重要です。
けれども、ご安心ください。イデコの出口(受給時・受取時)には、一時金(1度に全額)だけでなく年金(制度上は5~20年間での分割。分割期間は金融機関により異なります。)にも節税のメリットが用意されています。出口も含め、トータルで節税(税金の節約)メリットを受けることが可能なのです。
公的年金の受給開始が65歳からになってしまった、今がイデコ適齢期の私たちの世代。せっかく用意されている、65歳未満の「公的年金控除」の税制を有効利用しましょうという提案です。
もちろん、65歳定年制の勤務先でも大丈夫ですからご安心を。

(出口でも、税金0円です。)
それでは、イデコの出口(受給時・受取時)戦略、イメージ作りの4ステップです。
ステップ1 イデコが公的年金控除の対象であることを確かめる。
イデコを年金(5年以上で分割)として受け取るときには、公的年金控除の対象です。国民年金基金連合会のイデコ公式サイト(こちらからどうぞ)で確かめましょう。
公的年金控除の対象であることを確認したらステップ1は完了です。
ステップ2 公的年金控除について知る。
今度は、公的年金控除について確かめます。国税庁のパンフレットを見てみましょう(こちらからどうぞ)。
「年金等に係る雑所得の計算方法」として「公的年金等に係る雑所得の速算表」が載っています。「65歳未満の方」の「公的年金等の収入金額」が「70万円以下」だと、「公的年金等に係る雑所得の金額」が「0円」と書かれています。(個人住民税も雑所得の計算方法は所得税と同じです。)
つまり、60歳からの5年間は、1年間(1~12月まで)のイデコ受け取り合計額が年間70万円以下なら、税金がかかりません。
公的年金控除の金額を確かめたら、ステップ2は完了です。
ステップ3 公的年金控除から逆算して、イデコの受け取りに税金がかからないことを確かめる。
ステップ2の通り、年間70万円までイデコ口座から引き出した収入に税金がかかりません。
したがって、60歳からの5年間だと、トータルで350万円まで(70万円×5年=350万円)イデコの受給(受け取り)に税金がかかりません。
この350万円をイデコ加入期間で逆算して、毎月の掛金でいくらまで受給に税金がかからないのか確かめます。仮に、イデコを50歳でスタートして加入期間が10年間だとすると、
3,500,000円÷10年÷12ヶ月≒29,166円
ですから、運用益を考えない単純計算で、毎月29,166円の掛金までは税金をかけずに引き出せます。加入期間がもう少し長ければ、その分、月数を増やして計算してください。
ではここで、イデコの支払い(拠出)限度額を思い出してください。
企業年金等がない会社員の場合、月に27,000円が拠出限度額です。
拠出限度額の27,000円は、公的年金控除から逆算した29,166円よりも金額が小さいのですから、例えば、(運用益はほぼゼロで元本確保の)定期預金でイデコを運用していたなら、出口(受給時・受取時)でも、全額税金がかからないことがイメージいただけるでしょう。
5年間の年金(分割)で受け取っても税金がかからないことを確かめたら、ステップ3は完了です。
ステップ4 いざ60歳。受け取り方を決める。
60歳になったら、イデコの受取方法を自分で決めます。
積み立てをしないで、資金をイデコ口座に入れておくだけでも、口座管理料はかかります。金融機関によっては、さらに金融機関の手数料が上乗せされてかかります。
また、受け取るときにも、その都度、振込手数料がかかります。
手数料はできるだけかけたくありませんね。
手数料を考慮して、受取方法の優先順位の確認です。
1位 60歳で一時金(1度に全額)受け取り、退職所得控除を受ける。(前回の記事のケースです。こちらの記事をどうぞ。)
2位 60歳から5年間の年金(分割)で受け取り、公的年金控除を受ける。(今回の記事のケースです。)
もしも、5年間の年金(分割)で受け取るとしても、振り込むのは年(1~12月)に1度にしましょう。振込手数料の節約です。
それから、65歳定年制ので退職金が65歳に支給される会社員の方も、60歳から5年間の年金で受け取りましょう。
ステップ2で確かめた通り、60歳からの5年間は、1年間(1~12月まで)のイデコ受け取り合計額が年間70万円以下なら、雑所得が0円だからです。給料と一緒にイデコを受け取っても、イデコの受け取り分の税金が増える心配はありません。
とはいえ、就業規則などで退職金の金額が確かめられ(退職金をいくらもらったのか、先輩社員にはきけませんよね。)、かつ、退職所得控除に余裕がある(退職金に税金がかからない上に、イデコ口座残高分の余裕がある)のなら、60歳時点で、一時金(1度に全額)で受け取るのがおすすめです。(退職所得控除については国税庁のサイトをご覧ください。こちらからどうぞ。)
イデコの出口(受給時・受取時)戦略、イメージが持てたでしょうか。もちろん、10年後の税制が変わっている可能性もあります。けれども、今の税制を確かめて出口戦略を持っていることは、あなたに、変化への対応力をもたらしてくれるはずです。
最後に、税金がからむと、有利・不利が一概にはいえません。前提条件(収入など)が違えば、結果も変わってきます。特に、ステップ4でわからないことがあったら、市区町村の無料税務相談などのご利用をおすすめします。

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